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第2部: 簡単に学び、使う

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ハングルが作られてから、すぐに漢字に代わって広く使われるようになったわけではありませんでした。漢字を使っていた階層は、意識的に漢字の使用にこだわり、ハングルは公式的な文字として認められませんでした。

ハングルの創製初期には、朝鮮の統治理念である儒教の経典と、民間の一般的な宗教であった仏教の経典を韓国語にしてハングルで書き表し普及する「諺解(漢文をハングルで解釈すること)作業」からハングルが使われ始めました。さらには、複雑な漢字の発音体系を正す作業にもハングルが使われ、漢字を始めとする各種の外国語学習教材にもハングルが幅広く活用されました。

一方、伝統的な宗教や西洋宗教の伝播を目的に宗教書籍を普及するために使われたりもし、医学書籍、兵法書籍のような実用書籍類や、民衆を啓蒙するための教化書の製作にもハングルが使われました。

このように漢字や外国語の教育、布教、実用的な知識の伝播など、間接的な方式でハングルが使用が拡散され、結局は生活全般に渡ってその影響力が行き渡るようになりました。

용비어천가

竜飛御天歌

월인석보

月印釋譜

1) 誰でもわかりやすいハングルで

諺解とは一般的に、漢字で書かれた漢文を韓国語に翻訳しハングルで書くことです。創製当時、ハングルは「諺文」と呼ばれたため「諺解」というのです。

ハングルが作られた初期には、主に王室が主導して「楞厳経」、「法華経」、「金剛経」、「円覚経」のような仏教の経典類や、『小学』、『論語』、『孟子』、『大学』、『中庸』のような儒学の書籍を諺解しました。

諺解する対象が多様になり、膨大になるに伴って、ハングルの使用は段々と実用的な領域まで拡大されました。中国語を始めとする外国語の教材から道教、カトリックのような各種の宗教書、医学書、兵法書、農業書、調理書のような実用書に至るまで広く使われながら、ハングルは漢字を知らない多くの人々が様々な知識と情報を習得するのに重要な役割を果たしました。

묘법연화경언해

妙法蓮華經諺解

분류두공부시언해

分類杜工部詩諺解

2) 外国語の学習をハングルで

ハングルは漢字を始めとする外国語の学習にも効果的に使われました。当時、朝鮮で使われていた漢字には、中国の様々な時代、様々な地域の音と意味が混用されていて、これを整理するためにまた別の漢字を使わなければならない状況でした。しかし、表音文字であるハングルを使用して漢字の音と意味をはっきりとさせることにより、漢字も学びやすくなりました。

朝鮮時代の外国語教育は、当時の外交戦略であった事大交隣という政策のためにとても重要でしたが、主な外国語であった中国語、モンゴル語、満州語、日本語の学習教材にハングルが効果的に使われました。外国語の教育と通訳・翻訳を担当していた司訳院で作った外国語教材に外国語の単語や文章の意味をハングルで書いたのはもちろん、外国語の発音を表示する時にもハングルで表記しました。

3) 宗教の世界をハングルで

ハングルは仏教、カトリック教、天道教(東学)、キリスト教などの宗教を伝播するにあたっても積極的に使われました。より多くの人々が特定した宗教を信じることができるようにするには、数人の人を対象に言葉でする説教よりも、文字で資料を提示する方がより効果的でした。その上、朝鮮時代の後期に宗教の主な布教対象は漢字を知らない一般民衆であったため、ハングル使用の必要性がより大きくなりました。

朝鮮時代の初期には、仏教の経典類が大きな比重を占めましたが、朝鮮時代の後期に入ってからは、西洋から入ってきたカトリックの聖書、カトリックに対抗して創始された天道教の歌詞集などが新しく登場しました。一方、20世紀になってからは、キリスト教の聖書が韓国語に翻訳され刊行されました

부모은중경언해

父母恩重經諺解

태상감응편도설

太上感應篇圖說

4) 実用知識もハングルで

ハングルは国家を維持したり民間の生活に有用な実用知識を伝えるにあたり、積極的に使われました。特に壬辰倭乱(文禄・慶長の役、1592∼1598)を経た後、疾患の治療法を記した医学書や武器の使用法を記した兵法書が先を争ってハングルで刊行されました。
この他にも、実生活で有用に活用される本が多様な分野に渡って刊行されました。疾患や飢えから生き残る方法を記した『救荒撮要』や、農業の方法を説明した農業書籍類などがその例です。これだけでなく、武器の使い方の書いた『武芸諸譜』、料理書の『飲食訪問』、済衆院(1885年設立。韓国初の近代的国立病院)発刊の韓国初の解簿学教科書『解簿学』など、いろんな実用書ハングルで翻訳・執筆されました。